ピアノ協奏曲第21番ハ長調 2
この作品については、むしろ、音楽ファンの中のかなりの人たちが、あのリパッティの演奏に接したことによって特別の愛着をもつようになったといっても、あながち誤りではないように思われる。
カラヤンとの顔あわせによるその演奏は、たしかにひとつの貴重な記録であることもまちがいないが、それとともに、モーツァルトの音楽が何であるかを知り、そして考えさせてくれるほどの内容をもっているからである。
この作品は、短調による彼の最初のピアノ協奏曲となった二短調K四六六から、約一か月半ほどおくれて生みだされた。一七八五年三月初旬のことである。
前作の二短調協奏曲では、彼の音楽が、すでにある意味でロマンティックな世界に入っていたことを思わせているが、この作品でも、彼はそれを印象づけると同時に、対照的なハ長調という調性を選ぶことによって、かなりの解放感をもったピアニスティックな世界への接近をもみせている。