ピアノ協奏曲第9番変ホ長調《ジュノーム》3
作曲は、1777年の1月で、当時ザルツブルクに立ち寄っていたフランスの女流ピアニスト、ジュノーム嬢のために書かれたものである。
この曲に「ジュノーム」という副題が付けられているのはそのためだが、このジュノームがどのようなピアニストであったのかはほとんど知られていない。
ただ、この協奏曲がそれまでの作品よりもはるかに技巧的に書かれていることから、かなりの名手であったことが想像される。
そしてモーツァルトは、彼女からパリの音楽事情や音楽の傾向などを聞いたに違いないことは、この曲の中から充分に聴きとることができる。
第一楽章は協奏風ソナタ形式のアレグロ、第二楽章は珍しくハ短調という短調の調性で書かれたアンダンティーノで、弦楽器は弱音器を付けて演奏し、美しい情緒をもつ。
第三楽章はロンドだが、途中独奏ピアノを中心としたカンタービレのメヌエットを入れている。